認知症患者に向けた治療アプローチ

認知症になると、元気がなくなり引っ込み思案になったり、物をしまい忘れたことを忘れて他人が物を盗ったと妄想して急に怒り出したりと、急に人が変わる傾向にあります。現状は完治しない病気なので、一度発症してしまったらなるべく進行しないよう注意しつつ、生涯付き合っていかなければなりません。

認知症の治療には、薬で脳機能の低下を遅らせるようにする薬物療法と音楽や芸術、園芸、回想などで脳を活性化させるようにアプローチする非薬物療法があります。どちらも、今残されている機能を保ちつつ、日常生活における支障を軽減させるようなアプローチを行います。

認知症患者の脳を活性化させ、生活の質を高めるという意味で、非薬物療法は非常に良いアプローチだと言われています。例えば、昔好きだった音楽を聴くと、当時の出来事を思い出したり、安心感を感じたりして、精神的に落ち着きを取り戻すものです。実際に介護現場では、いつもは反応が薄い人が、好きな歌を聴くと突然大きい声で歌い出すことも少なくないといいます。

音楽の他、芸術や園芸なども認知症患者に向けたレクリエーションとして取り入れられています。ただ、なんでも取り組ませてしまうと、高齢者自身が疲れてしまうので、無理強いをしないことが大切です。認知症の非薬物療法は、当人が楽しんでやれるものを勧めるようにしましょう。

こうした非薬物療法は、なるべく毎日継続して行うのがベターです。認知症患者の現状を維持していくためには、何もしない一日を作らないようにする必要があります。